これってお得?構造は大丈夫?など不安に感じておられることを、建築士と宅地建物取引士それぞれの知見に基づいて調査・査定いたします。リフォームを合わせて考えておられる場合は、老朽度や耐震性、間仕切変更の自由度、かかる工事費用など総合的な判断が重要です。間取りが悪く、構造的な制約で思うようにリフォームできない場合がありますから注意が必要です。
◇ 調査費用
「こんなにたくさん値引いていますよ。」は本当?
見積の結果が下表のようだったとします。
会社名 | 建築工事費 | 出精値引き | 合計金額 |
---|---|---|---|
A社 | 20,000,000円 | 200,000円 | 19,800,000円 |
B社 | 20,500,000円 | 700,000円 | 19,800,000円 |
C社 | 21,000,000円 | 1,200,000円 | 19,800,000円 |
3社同様な設計内容での見積の結果が上記のようなことはありえます。
C社だけで見ると値引きが大きく得したような気がしますが、結果はA社と同じです。どちらが良心的かというと私はA社の方だと思います。同じようなことはシステムキッチン等の住宅設備の掛け率にもいえます。100万円×78%=78万円と120万円×65%=78万円は同じことです。
このように車等の完成品を買うのとは違い、住宅(建物)はオーダー品ですから見積の金額が高いのか安いのか何が適正価格なのか、一般の人にはまず分らないと思います。顔色を伺いながら値切りそうなお客には高めに、すんなり決まりそうなお客には安めにと、結構その時々の状況によって見積のサジ加減は違っていると思います。それだけ調整幅があるということです。まして設計図が数枚だけの状況では、使用する材料や仕様が細かく決められていませんから、契約の後からでも十分に調整ができるわけです。そのような不透明感を嫌気して、見て安心(住宅展示場モデルハウス)、買って安心(独自価格設定)の大手ハウスメーカーに依頼される方が多いのかもしれません。
全国展開のハウスメーカー等は上記の様な価格の不透明なところを明確にして(?)、完成品価格的な販売方法をとっています。たとえば○○プラン○○仕様本体価格1,700万円+瓦葺変更30万円+間仕切壁変更20万円+システムキッチン、バス変更50万円+屋外給排水設備工事費180万円=1,980万円という感じです。あらかじめ価格設定していることで極端な値引きをすることなく、一定の利益を確保しているわけです。独自の仕様・価格ですから他と比べようがありません。ローコストを売りにするハウスメーカーはこの手法で一見安い坪単価で集客をはかっています。屋外給排水設備等が200万円かかれば40坪の住宅なら坪5万円のプラスですが、これが別途工事になっていて現れていない場合がほとんどだと思います。変更プランの価格設定はたいてい高めに設定されていて、最終的には地場の工務店の価格と余り変わらなくなっているのではないでしょうか。
以前、ある方の紹介で進行中のリフォーム工事の施主が私の事務所に相談にみえました。請負業者が現場を長く空けて工事が中断したことと、思いと違った住宅設備機器が納入されたことからトラブルになったようです。私への依頼は今の請負業者と解約して残りの工事を他の業者でするから、現状の調査と工事出来高の査定をしてほしいということでした。私も関係の無い他人のトラブルに立ち入るのも嫌でしたので、はじめはお断りしたのですが、どうしてもと懇願されてしかたなくお引き受けしました。請負業者もよく言う悪質リフォーム業者とは違う普通の業者なのですが、施主への内容説明が不十分なためにこのようなトラブルを招いてしまったようです。小規模なリフォームの場合は、設計図を作成しないで見積書だけですませてしまう場合もありますから特に注意が必要です。